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​日本酒のことなら俺に聞け!!

​~ツチダタクの日本酒探訪記~
第一回 静岡・大村屋酒造「始朗」

ー業界きっての日本酒好きで知られるコントラバス奏者・土田卓。

その知識と日本酒愛をクラッシュマントリオの飲み会の席だけに留まらせているのは勿体ない。。そんな想いから誕生したこのコラム。

かの土田氏が日本全国津々浦々を探し歩いて見つけた銘酒、名酒、迷酒の数々を紹介していくこのコーナー。栄えある第1回目を飾るのは、静岡生まれの銘柄「始郎」である。彼がどんなきっかけでこの酒と出会い、どんな想いを込めて飲むのか。その味わいの深淵を少しだけのぞいてみよう。。

 

 

Q.それでは土田さん、今日はよろしくお願いします。まずは「始郎」の簡単な説明をお願いできますか?

 

土田:

どうもこんにちは!土田卓です。

今回取り上げる銘柄「始郎」は僕の生まれた町、静岡県島田市にある「大村屋酒造」さんで造られた年に二回しか出荷されない限定酒です。

始郎の名前はその生涯を酒造りに捧げた、五代目当主(先代)の名前からとっています。

 

Q.なるほど。そもそも土田さんの出身地、島田のお酒だったんですね。それはきっと並々ならぬ想いがあることだろうと思いますが。。さしあたって、始郎の味の特徴をまずお聞きしたいと思います。

 

土田:

はい。

この蔵元「大村屋酒造」のお酒に共通する、柔らかく上品で後を引かない「甘味」。それがストレートに、しかもフレッシュな酸味とともに伝わってくるところが大きな特徴だと思います。そして静岡の地酒に共通する、食中酒としてのバランスとキレですね!

 

Q:上品な甘さと酸味。。これは普段あまり日本酒を飲まない方や女性にもオススメできますね!それでは、そんな「始郎」と土田さんの出会いについてお伺いしましょうか。

 

土田:

よく行く酒屋で偶然見つけて、地元の蔵にこんな銘柄もあったのか~!とはじめは軽い気持ちで購入したのですが、上記のような理由でハマってしまいました!

それ以来、色んな方に薦めています!

Q.なるほど!そこから土田さんと「始郎」の蜜月が始まったんですね。

ではここで、あえて音楽家っぽい質問をしたいと思いますが。。クラシック音楽の作品で、この「始郎」を例えるならばどんな楽曲が思い当たりますか?

 

土田:

甘味とキュンとするような酸味。そしていつまでも浸っていたくなるようなトロッとした口当たり。蔵元のこだわりや主張と、落ち着きのある風味。M.レーガーが友人の結婚式のために書いたといわれる「叙情的アンダンテ」の雰囲気が近しく思います。

 

Q.ほう、レーガーですか。これはまた渋いというか土田さんらしいセレクトですね!

(注:マックス・レーガー・・・19世紀末から20世紀初頭に活躍したドイツの作曲家。古典的な様式の中に、繊細で精緻な表現を得意とする)

それでは、そんな「始郎」と土田さんのエピソードなどがあれば教えてください!

 

土田:

上にも書きましたが一発ではまって以来、以後毎年買ってます。。。といってもまだ買い始めて三年目ですが。実を言うとお酒の銘柄はあれこれ飲みたい僕にとって同じ蔵の同じお酒を毎年購入するということはあまりしないんです。と言うのも、ひとつの蔵でも定番酒・季節酒・限定酒・PB酒など本当にバリエーション豊かですから。個人的には地元静岡の蔵元のお酒に開眼するきっかけになったお酒です。

 

Q.地元静岡の地酒の魅力にハマるきっかけになったとは、いやはや運命の出会いだったわけですね。では、土田さんが日本酒そのものに目覚めたきっかけは何だったんですか?

 

土田:

ひとつは富士宮にある居酒屋「やぶさめ」さんでお酒についていろいろと教えていただいたこと。もうひとつは、飲んでいるうちに作り方やそのメカニズム・蔵元などに興味が湧き、本を読み調べ始めたのがきっかけですね。

ものづくりにたずさわる人が好きで、職人さんによる手仕事の話であったり酵母や菌のダイナミックな発酵メカニズムや蔵元でのドラマ。そして何よりお米と水から出来る複雑な味わい。。そういった情報や感覚のサイクルを経てズブズブと深みにハマりました。

 

Qなるほど!深い。深いなぁ。。いつも飲み屋さんで聞くウンチクよりさらに一本踏み込んだ内容の話が聞けました(笑)。それでは最後に、日本酒ナビゲーター土田卓として読者のみなさまへ一言。

 

土田:

皆さん、日本酒って凄いんです。是非お手にとってみて下さい!!

Q.では、日本酒とは関係ありませんが来たる7/7,7/8にクラッシュマントリオの旗艦イベント『クラッシュマントリオトリオ・サマーナイトコンサートvol.2』が間近に迫っておりますが、今回のライブへの意気込みやお客さんへのメッセージがあればお願いします!

 

土田:

3年目にして、3人のバランスがまた進化しつつあるように思います。

楽曲そのもの、パフォーマンス、そして音、空間全部を楽しんでいただけるライブに出来ればと思います!

 

【あとがき】

いやはや、日本酒について語る時の土田氏のパワーには圧倒される。それはそうと、同じ銘柄をあまり何度も飲まないと言う土田氏が思わず毎年買ってしまっている「始郎」がいかに心を打つ味わいなのか。。それは彼の話を聞いていると想像するに易い。そして、ミュージシャンとして生きる彼が、職人の手仕事や蔵元の背景に興味を持ち、味覚と情報の両面から酒の愉しみを見出していると言う点でとても興味深い。

ともあれ、このコラム第1回を飾るにふさわしい銘酒「始郎」。静岡にお立ち寄りの際は、ぜひ探してみてはいかがであろうか。

(聞き手・ヨコミゾヒロユキ)

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